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脂肪肝、MASH
脂肪肝とは?

肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態を脂肪肝と言います。軽度の脂肪肝は自覚症状がほとんどなく、健康診断などで偶然発見されることが多い病気です。脂肪肝の段階であれば、適切な生活習慣の改善により元の状態に回復できる可能性もあります。しかし、肝硬変に進展すると治療が難しくなるため、脂肪肝と診断されたら早めの対策が重要です。
大阪府松原市・岡・新堂・立部の松本医院では、肝臓専門医による脂肪肝の診断と、適切な治療・生活習慣改善のアドバイスを行っております。検査で脂肪肝を指摘された方は、お気軽にご相談ください。
脂肪肝の症状
多くの場合、初期の脂肪肝では自覚症状がほとんどありません。そのため、健康診断での血液検査(肝機能検査)や腹部エコーで偶然見つかることが多いです。
症状が現れてくるのは、炎症が進み肝硬変へと進行してからのことが大半です。その場合の症状としては以下が挙げられます。
倦怠感
肝機能の低下により、全身のだるさや疲れやすさを感じます。
腹痛・腹部の不快感
右上腹部(肝臓がある部位)に鈍い痛みや重苦しさを感じることがあります。
消化不良・食欲不振
肝機能の低下によって消化不良が起こり、その結果として食欲が低下します。
黄疸
ビリルビン(黄色の色素)が肝臓で代謝されなくなって血液中に過剰になると、皮膚や白目が黄色く変色する黄疸(おうだん)の症状が現れることもあります。
脂肪肝の種類と原因
脂肪肝は主に「アルコール性脂肪肝」と「非アルコール性脂肪肝」の2つのタイプに分類されます。どちらも適切な治療を受けなければ、肝臓の線維化、肝硬変、さらには肝がんへと進行するリスクがあります。
アルコール性脂肪肝
お酒の摂取量が多い方に見られる脂肪肝です。肝臓はアルコールを分解する働きを持っていますが、処理能力を超える量のアルコールを継続的に摂取すると、肝細胞に脂肪が蓄積していきます。アルコールの代謝能力には個人差があるため、「少量なら安全」という一律の基準はありませんが、定期的に飲酒する習慣がある方は注意が必要です。
アルコール性肝炎(ASH)
長期間にわたるアルコールの過剰摂取により、肝臓に炎症が起きた状態です。この状態で飲酒を続けると肝臓の機能が低下し、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)・
代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)
アルコールをほとんど摂取しない方、または少量しか飲まない方に発症する脂肪肝を「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)【旧NAFLD】」と総称します。主な原因としては、メタボリックシンドロームや生活習慣病(肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症など)、過度のストレスなどが挙げられます。
MASLDの多くは単純な脂肪肝であり、肝臓に脂肪が蓄積するものの、炎症や細胞障害は伴いません。自覚症状はほとんどありませんが、一部の方では次に説明する脂肪肝炎へと進行することがあります。
代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)
非アルコール性脂肪肝の一部が進行し、肝臓に炎症や細胞障害を起こしている状態をMASH【旧NASH】といいます。お酒をほとんど飲まない方でも、アルコール性肝炎と同様の肝臓ダメージが起こり、放置すると肝硬変や肝がんへと進行するリスクが高まります。
比較的新しい疾患概念であり、発症メカニズムについてはまだ研究が進められている段階ですが、早期発見と適切な生活習慣の改善が重要です。
肝肪肝の検査と診断
血液検査
肝機能検査(AST、ALT、γ-GTPなど)で肝臓の状態を評価します。脂質(中性脂肪、コレステロールなど)や血糖値などの数値も重要です。
画像検査
腹部エコーやCT検査、MRI検査などにより、詳細に肝臓の脂肪化の程度を評価します。
肝生検
肝臓の一部を採取して顕微鏡で観察することで、脂肪化の程度、炎症、線維化の状態を詳細に評価します。
※当院で行っていない検査は、提携先医療機関と連携して実施します
脂肪肝の治療
食事療法
脂肪肝の主な原因となる食生活を改善します。
節酒・禁酒
過度なアルコール摂取を控え、肝臓への負担を減らします。
カロリー制限
特に糖質と脂質の摂取量を適正化し、過剰なカロリー摂取を控えます。
バランスの良い食事
野菜や果物、魚、少量の良質な肉などを中心とした食事を心がけます。
規則正しい食生活
間食を控え、夜遅い時間の食事を避けるなど、食事の時間帯も大切です。
適度な運動
適度な運動によって脂肪を燃焼させやすい体を作ります。ウォーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動や筋力トレーニングを組み合わせて行うと効果的です。
適正体重の維持
BMI(体格指数)が25未満になるよう体重管理を行います。急激な体重減少はかえって肝臓に負担をかけるため、医師と相談しながら緩やかな減量を目指します。
薬物療法
上記の治療法で効果が不十分な場合に検討します。合併している病気(糖尿病や脂質異常症など)を考慮した薬剤を使い、脂肪肝の状態を徐々に改善していきます。
現在、MASHに対する確立した薬物療法はありませんが、肝臓の炎症や線維化の程度によっては、肝臓保護薬や抗酸化作用のある薬が使用されることがあります。